Triad sou.

『宇宙怪人しまりす統計よりも重要なことを学ぶ』を読みました

楽しく読ませていただきました。

いくつか印象に残った点についての感想です。

第1話(としまりすコラム1)、報告時に探索的研究と検証的研究を区別しないといけない、という話題が出てきていました。やっぱり、これは大事だなと思いました。完全に切り分けるのも難しいのかもしれませんが、論文に読者の判断の助けになるような記号をつけられるような仕組みがほしいと思いました(P値を使うことを禁止しないんだったらこれぐらいはやってもいいのでは)。事前に主要評価項目が定義されている、サンプルサイズ設計がちゃんとされている、解析計画が事前に公表されている等。某系列のようにsupplementaryにチェックリストへの報告義務を課すところもありますが、これはどのぐらい読まれているんだろうといつも思います。

第2話、裁判記録のお話は聞いたことがなかったので個人的に衝撃を受けました、みんな読んだ方が良いなと思いました。誠実であり続けることを誓います。

第3話、合流の話も出てきて非常に参考になりました。

第4話、層別解析とサブグループ解析の話はあるあるですね。自分も授業では触れるようにしています。確かに層化統合解析とか別の呼び方にしたほうが間違われにくそうです。ターゲット集団の話が出てきて、授業で話すんだったらどこまで話すのがいいんだろう、とふと思いました。

第5話、審査会でしまりすくんと先生はさらっと正しいコメントしていますね(カッコいい)。現状では同様の指摘に該当する研究がどのぐらいあるんだろうかと思います。このようなコメントが来ないことが常識になるような世界を整備できるようにしないといけないな、と思いました。

自分が関わる医学研究の範囲に限っての感想ですが、因果推論を導入するメリットは因果関係を示すことができるからではなく、研究計画の段階で効果の定義をめちゃくちゃ意識できるところかな、とより強く感じました。

追記

COI開示です。